ワタシは燃えた🔥
硬くなった体の奥で炎症が一気に広がり、いくつもの細胞が崩れ落ちた。壊れた細胞はもう戻らない。そこにはかつて解毒や代謝をしていた小さな工場の灯りがあった。
今は静かに消えている。残った細胞たちは空いた場所を埋めるように必死に働きはじめる。一部は少し大きくなり失われた分の仕事を引き受ける。休むことも文句を言うこともできない。
ワタシはただ黙って働くしかない。壊れた場所には修理の印としてコラーゲンの繊維が積み重なる。それは柔らかな組織ではなく固い“傷跡”。柔らかかったワタシの体は少しずつ知らない形に変わっていく。
ようやくヒトは立ち止まった。白いパンが減り、夜更けの袋菓子は棚に戻り、水のグラスが増えた。歩く時間も少しだけ長くなった。ワタシの中の流れはゆっくりと落ち着きはじめる。炎症の火は弱まり、濁っていた血は静かに澄んでいく。残った細胞たちはようやく少しだけ息をつく。
その穏やかな時間の中でワタシはふと立ち止まる。もし、この静かな食卓がもっと早く訪れていたら…もし、あの白いパンや夜更けの袋菓子が少なかったら…消えてしまった細胞たちもまだここで一緒に働いていたのだろうか…誰にも気づかれず、誰にも感謝されず、ただ黙って働いてきたワタシの中で、その無念な思いが静かにワタシの心を揺さぶる…もし涙というものがあるなら…きっと今、ワタシの中で流れているのか…
ヒトはほっとする。「もう大丈夫だろう」と思う。そして時が過ぎ、忙しい日、遅い夕食、甘い飲み物、一度だけのつもりの夜更けのスナックが再び…
ワタシは覚えている、あの燃えるような夜を。けれどヒトはあの苦しさを少しずつ忘れていく。脂肪はまた戻り、炎症はまた小さく灯る。そのたびにワタシはまた黙って働く。壊れた場所を抱えたまま。消えてしまった細胞たちの分まで。ワタシは今日もヒトの体を守ろうとしている…
そして、この静かな繰り返しの先にもうひとつの変化がゆっくりと芽を出しはじめている。それは痛みもなく、音もなく、とても静かだ。多くのヒトはそれに気づかない。ワタシだけが知っている。この長い物語にはまだ次の章が残っていることを…(つづく)
The Quiet Cycle
I burned once. Inflammation surged through my scarred body, and many of my cells disappeared forever. The ones that remained worked harder, growing larger, carrying the weight of the lost. Where life had been, scar tissue settled in silence.
Then the human paused. Less sugar. Fewer late-night snacks. More water, more walking. For a while, the storm inside me softened. The blood cleared, and the remaining cells finally breathed. If I could cry, those would have been quiet tears. But time passed. Busy days returned. Late dinners. Sweet drinks. A midnight snack, just once. Fat crept back. Inflammation flickered again. I remember everything, even when the human forgets. And with every quiet repetition, something else begins to change inside me. Slowly. Silently. So quiet that almost no one notices.
But I do. Because I know this story still has another chapter waiting.
安静的循环
我曾经燃烧过。炎症在我已经结痂的身体里蔓延,许多细胞就这样永远消失了。剩下的细胞只能更努力地工作,变得更大,承担失去的那一部分。生命离开的地方,慢慢被沉默的疤痕填满。
后来,人终于停了一下。少了糖,少了深夜的零食,多了水,也多了走路。有一段时间,我体内的风暴渐渐平息。血液变得清澈,剩下的细胞终于能稍微喘口气。如果我会流泪,那一定是安静的泪水。但时间继续向前。忙碌的日子又回来了。迟到的晚餐。甜饮料。“只是一次”的夜宵。脂肪又悄悄回来。炎症再次微微点亮。人会忘记,但我记得一切。而在这一次次安静的循环之中,我的深处还有另一种变化正在慢慢出现。缓慢。无声。安静得几乎没有人察觉。
但我知道。因为这个故事,还有下一章。

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