語り始めたワタシ(第2章)

今日、ワタシは少しだけ医学の話をしてみよう。

「脂肪肝は酒のせいだろう」そう言われるたび、ワタシは何も言わずに仕事を続ける。

違う。アルコールだけが原因ではない。甘いラテ、白いパン、夜更けのスナック、運動不足の一日

 

「白いパン」?それは精製された小麦粉で作られた食パンや菓子パンのこと。クロワッサン、メロンパン、クリーム入りのデニッシュ。ふわりと軽く、口当たりは優しいが、食物繊維は少なく、体内では素早くブドウ糖へと変わる。血糖は急上昇しインスリンが何度も強く呼び出される。

 

「夜更けのスナック」?ポテトチップス、チョコレート、カップ麺、甘い炭酸飲料。眠る直前に入ってくる糖質と脂質。消費されにくい時間帯に余剰エネルギーが静かにワタシへ運ばれる。それらが重なり血糖が何度も高くなってインスリンが繰り返し分泌される。やがて細胞はその合図に鈍くなる(インスリン抵抗性)。ワタシは言葉少なに受け取ります。インスリン抵抗性が進んだ体は筋肉で使われなかった糖がワタシの元へ回ってくるから。

 

行き場を失った糖はワタシの中で脂肪へと変えられる。「また増えた」と脂肪滴が小さく膨らむ。本当はエネルギーとして燃やしたい。でも消費が少なければ、貯蔵するしかないんです。

 

脂肪滴は少しずつ膨らみ、細胞の中で場所を取り始める。ヒトは「少しだけ」と言うけれど、ワタシは「積み重なっている」…とつぶやく。一晩なら問題はないけれど毎晩はね…。

 

 さらに、脂肪組織から流れ込む遊離脂肪酸。腸内環境の乱れによる炎症シグナル。ワタシは静かに処理を試みるが、次第に追いつかなくなる。こうして始まるのがNAFLD、非アルコール性脂肪性肝疾患。飲酒が少なくても過栄養と代謝の乱れがあれば進行する。細胞の中で脂肪が増え、酸化ストレスが高まり、炎症の火種がくすぶる。

 

それでもワタシは無口だ。痛みを訴えず数字だけを少しずつ変える。AST、ALT、γ-GTP。血液検査の紙の上でワタシはかすかなサインを出す。「まだ戻れる」ワタシは毎日そう思っている。けれど生活が変わらなければ、静かな脂肪は炎症へ、炎症は線維へと姿を変える。

次の章は、もうすぐそこまで来ている。(つづく)