腎臓を守る４つのこと

今日も引き続き腎臓から来る異所性石灰化-骨・ミネラル代謝異常という病気のお話しです。

 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常（CKDMBD）は代表的な合併症で、透析が必要となる前の保存期から発症するようです。 血管の石灰化など、生命に関連する全身疾患として見過ごす事ができません。

腎臓の機能が低下するとビタミンDの働きが障害されるためカルシウムが食事によって体内に吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。（ビタミンDはカルシウムの吸収を促す働きをもっています）また、尿中へのリンの排泄機能が低下するため血液中のリン濃度が上昇します。

慢性腎臓病（CKD）の患者さんでは、低下したカルシウムと上昇したリンの血中濃度の異常を調節しようとして、副甲状腺（ふくこうじょうせん）ホルモン（PTH）の量が増加します。副甲状腺ホルモンは、骨から血液中へとカルシウムを移動させる働きをもつため、増え続けると骨のカルシウムが減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。このように高カルシウム・高リン状態が持続して血液中で過剰になったカルシウム・リンが血管壁の石灰化を起こします。慢性腎臓病でみられるカルシウム・リン・副甲状腺ホルモンの異常により引き起こされる病気を「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常（CKD-mineral and bone disorder：CKD-MBD）」といいます。

異所性石灰化とは文字通り本来石灰化していない部分が石灰化することで、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムの結晶が組織に沈着する現象です。高リン血症、高カルシウム血症がその主な原因で特に血管、心臓弁膜など軟部組織の石灰化から動脈硬化のリスクが高まり、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙なども原因でおこります。

腎臓を守る4つのことを参考にしてください。

1. 適度な運動。定期的に体を動かすことで、血圧・血糖を正常範囲に保 つことができます。
2. バランスのとれた食事。新鮮な果物・野菜を十分とりいれた健康的な食生活を送ることが重要です。加工食品、糖分、脂肪、肉類の摂取は減らすべきです。特に40歳を越えた後は糖分を減らすことで高血糖や腎結石のリスクを減らすことができます。
3. 市販薬は注意して内服する。日常生活で市販の鎮痛薬を使いすぎてはいけません。イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) は腎臓にダメージを与え、連用すると腎不全の原因となります。痛みをコントロールする別の方法を主治医とよく相談しましょう。
4. 水をたくさん飲む。十分な水 (約 3L/日) を飲むことで多くの薄い尿が作られ、体の老廃物を十分に排泄することができ、腎結石も予防することができます。

腎臓病を早期に診断するためには、血圧測定・尿検査・血中クレアチニン測定を毎年行うのが最も簡単な方法です。